Newsletter Vol. 23(2024年1月)

専利法実施細則の改正内容を解読《専利法実施細則改正特集号≫【中国】【特許】

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Shangcheng Newsletter Vol.23(2024.1)専利法実施細則改正特集号

中華人民共和国専利法実施細則(新旧対照表)

改正後特許法及び実施細則の審査業務に関連する条文の経過措置(和訳)

 

≪改正特集号
2024120日より施行開始 専利法実施細則の改正内容を解読

 注目が集まる「専利法実施細則(以下、「細則」と略称する) 」の改正について、2023 12 25 日付けで発行いたしました「Shangcheng Newsletter」では概要を簡単にご紹介しましたが、今回さらに「細則」の改正内容をいくつかのポイントにまとめ、解読を試みました。


(一)電子形式の書類の提出日と送達日/受領日の確定について(細則第 4 条)
 改正前の「細則」第 4 条では、国務院特許行政部門(以下、「特許庁」とする) に提出する書類の「提出日」、および特許庁が発行した各種書類の「受領日」の確定方法について規定されていたが、今回の改正では、電子出願において電子形式によって提出または送付される書類についての日付の確定方法が明示された。


 中国では、拒絶理由通知書に対する応答期限をはじめ、多くの対庁手続きの期限の計算は、特許庁から発行される書類の受領日/送達日が起算日とされているので、受領日/送達日の確定は非常に重要である。


 なお、改正前の「細則」第6条第2項では、特許庁から郵送される書類の受領日が発送の日からより15日経過した日と推定することを規定していたが、電子形式で送達される書類について、その受領日または送達日をどのように確定するかについて規定する条項はなかった。そのため、実務上では、従来、電子形式で送達される書類も、郵送で発送された書類と同様に、発行日から 15 日経過した日を受領日/送達日と推定するものとされていた。


 改正後の「細則」第 4 条には、「電子形式で国務院特許行政部門に各種書類を提出する場合、国務院特許行政部門が指定した特定電子システムに入った(注:中国語原文では「進入」という表現となっている)日付を提出日とする。」と規定する第 2 項が新設され、また「国務院特許行政部門が電子形式で送達した各種書類は、当事者が認めた電子システムに入った(注:上記と同様、中国語原文では「進入した」)日付を送達日とする。」と規定する第 7 項が新設された。

 

 特に、新設された上述の第 4 条第 7 項は、期限管理に大きな影響を与えるであろう。まず、改正「細則」施行後は、各種電子形式による通知によって期限が指定された場合、応答期限の計算時にこれまでの「15日の受領推定期間(15日の猶予期間)」が適用されなくなる。また、実務において、電子形式による庁書類が発行された後、通常は直ちに電子システムに入って配信され、かつ、出願人は庁書類が実際に電子システムに入った日を正確に確定し難いため、今後は、「電子形式による通知の『発行日』=『電子システムへの配信日』=『送達日』」という理解に基づいて期限を計算することになるものと予想される。

 

 また、「改正後特許法及び実施細則の審査業務に関連する条文の経過措置」(以下、「経過措置」と略称する)第 7 条によれば、電子形式で送付された庁書類については、その発行日が 2024 1 20日以降であった場合、その出願日がいつであろうとも、応答期限に 15日の推定送達日が適用されなくなると規定されている。

(二)優先権制度について
 改正後の「細則」には、優先権の回復に関する規定(第 36 条および第 128 条)、優先権主張の追加または訂正に関する規定(第 37 条)、および引用による補充に関する規定(第 45 条)が新設された。

1.優先権の回復(細則第 36、128 条)

 改正前の優先権制度においては、優先権期間を過ぎた後に出願を提出する場合、優先権を享受することができず、救済措置はなかった。しかし、改正後の「細則」第 36 条では、発明および実用新案(意匠は除く)について、後の出願の提出日が優先権期間満了の日から 2 ヶ月を超えない限り(つまり、最大で、優先権基礎となる先願の提出日から14ヶ月以内に)、優先権期間(優先権基礎となる先願の提出日から12 ヶ月)を超えていたとしても後の出願を提出し、優先権の回復を請求する機会が与えられるようになった。


 優先権の回復を請求することができる期間は、優先権期間の満了日から 2 ヶ月以内であり、且つ特許庁が公開の準備を終える前で、出願人は、優先権回復請求書を提出し、理由を説明し、権利回復請求料および優先権請求料を納付しなければならないものとされている。


 また、中国国内段階に移行された PCT 出願についても同様に優先権の回復を請求することが認められ、改正後の「細則」第 128 条に明確に規定された。具体的に言うと、PCT 出願の国際段階での受理官庁が優先権の回復を認めた場合、当該 PCT 出願が中国国内段階に移行された後に再び優先権回復の手続きをする必要はない。一方、出願人が国際段階で優先権の回復を請求しなかった、或いは受理官庁が優先権の回復請求を認めなかった場合は、出願人は当該 PCT 出願が国内段階に移行された日から 2 か月以内に特許庁に対して優先権の回復を請求することができる。

 

2.優先権の追加または訂正(細則第 37 条)
 改正前の優先権制度においては、出願人は、出願時に、主張するすべての優先権について声明しなければならず、出願が提出された後で優先権主張の追加や訂正を行うことはできなかった(注:ここでの「訂正」とは、優先権声明における誤記を訂正することではなく、主張する優先権の基礎出願を変更することを意味する。現行の優先権制度でも、優先権主張の基礎出願の出願日、出願番号および原受理官庁の名称のうちの 1 つまたは 2 つの項目について、優先権声明の誤記を補正することはできる)。しかし、改正後の「細則」第 37 条では、発明および実用新案(意匠は除く)について、出願時に少なくとも 1 つの優先権が主張されている場合は、最初の優先日から 16 か月以内または出願日から 4 か月以内(遅い方を基準とする) で、かつ特許庁が公開の準備を終える前に、優先権の追加または訂正を請求することができるようになった。

3.引用による補充制度(細則第 45 条)
 引用による補充制度とは、優先権の基礎出願の書類における内容を後の特許出願に補充して、後の特許出願の出願日を保留する制度をいう。今回の「細則」が改正されるまで、中国では引用による補充制度が導入されていなかった。しかし、改正後の「細則」第45 条によって、出願人が発明特許出願又は実用新案特許出願(分割出願は除く)を提出する際に特許請求の範囲、明細書、又は特許請求の範囲や明細書の一部の内容に漏れや誤りがあった場合、その出願が優先権を主張しかつ優先権主張の基礎となる先の出願書類に関連する内容が記載されていれば、同出願の提出日から 2 ヶ月以内、又は特許庁が指定した期間内に、先願の書類を引用することによって、それらの内容を補充し、かつ当該特許出願の出願日を保留することができるようになった。

 なお、「経過措置」第 3 条及び第 4 条によると、
 ★優先権の回復及び優先権の追加又は訂正を請求する日付が 2024 1 20 日以降であればよく(当該日を含む)、後の出願の出願日が 2024 1 20 日以降であるか否かについては問わない。
 ★先願に基づく引用による補充請求は、後の出願の初回提出日が 2024 1 20 日以降(当該日を含む)の出願に適用される。


 但し、特許庁の改正「細則」「審査指南」に関する説明会での説明によると、救済措置は重複適用しないという原則に基づき、優先権の回復、優先権主張の追加または訂正により優先権の基礎出願となった先願の書類は、後の出願の引用による補充の基礎とすることができないとのことである。

(三)復審プロセスの改正
1.正当な理由による復審請求(拒絶査定不服審判請求)期間徒過後の救済(細則第 6 条)
 正当な理由による期間徒過後の救済に関する条文として、改正前の「細則」第6条第2項には、「正当な理由により、専利法又は本細則に規定する期限或いは国務院特許行政部門が指定した期限に間に合わなかったため、その権利を消滅させた場合、国務院特許行政部門の通知を受け取った日より起算して2ヵ月以内に国務院特許行政部門に権利の回復を請求することが出来る。」と規定されていた。今回の改正では、当該条項の文末に、「但し、復審請求の期限に間に合わなかった場合、復審請求期限の満了日より起算して2ヵ月以内に、国務院特許行政部門に権利の回復を請求することができる。」との規定が加えられた。


 改正前の上記条文の文面では、復審請求期間徒過後の救済を排除していなかったものの、権利回復請求手続きの開始及びその期限計算は、「国務院特許行政部門の通知を受け取った」ことを前提としていた。例えば、出願人が指定の期限までに拒絶理由通知書への応答を提出しなかった場合には、特許庁から「出願が取り下げと見なされた」通知が発行され、それを受け取った日から2ヶ月以内に権利回復請求を提出することができるが、その一方で、拒絶査定を受けて期間を過ぎても復審請求が行われなかった出願に対しては、特許庁からは「出願が取り下げと見なされた」通知や「権利が消滅した」通知などが一切発行されない。そのため、復審請求期間徒過について、原細則第6条第2項に規定の救済が適用されるか否か、また、適用可能としても権利回復請求の期限計算は何に準じるのか、との疑問が存在していた。これについて、改正前の審査指南では、「正当な理由による復審請求期間徒過についても救済が可能」といった規定はあったが、やはり、部門規定としての審査指南における当該部分は明確な法的根拠を欠くものだった。そのため、今回の「細則」の改正によって、「正当な理由による復審請求期間徒過後の救済が可能」であること、及びそのための権利回復請求の期限起算日について、明確な法的根拠が与えられた。

 

2.復審の前置審査
 改正前の「細則」の規定によれば、復審請求時にクレーム補正の有無にも関わらず、必ず前置審査が行われ、かつ、前置審査が元の実体審査官(拒絶査定を発行した審査官)によって行われることになっていたが、今回の改正「細則」では、原細則の中の前置審査に関する条文(原細則第62条)が削除された。


 この改正から、前置審査がもはや復審における法定の必須手続きではなくなったと解釈することができる。しかし、「細則」の改正に伴って改正された審査指南では、前置審査に関する部分が残されており、その内容も実質的には変更されていない。 この点について、「細則」および審査指南の改正に関する特許庁の説明会での説明によると、前置審査手続きは維持されるが、その実施方法が改革されるとのことで、 具体的には、前置審査は、元の実体審査官によって行われるのではなく、専門の前置審査部門に所属する経験豊富な審査官によって行われることになるとのことだ。 このような改革により、近年復審プロセス(復審請求から復審決定まで)に数年も要されていたという問題が改善されることが期待される。

3.復審における職権による審査及び復審決定(細則第 67 条)
 改正前の「細則」第63条では、復審決定の種類を、「拒絶査定を維持する」決定と「拒絶査定を取り消す」決定に分けていた。 改正後の「細則」第67条では、これを「復審請求を却下する」決定と「拒絶査定を取り消す」決定に変更している。


 「拒絶査定を維持する」決定から「復審請求を却下する」決定へと変更したのは、改正後の「細則」第67条に新たに追加された「復審における職権による審査」の規定に合致させるためである。 改正前の「細則」第63条第1項によれば、復審決定は「復審請求が専利法と細則の関係規定」に合致するか否かの審査に基づいて行われるが、改正後の「細則」第67条第1項では、復審請求の内容に加え、職権で「出願が専利法と細則のその他の関係規定」に明らかに違反しているか否かについても復審の審査内容となった。そのため、これらの審査内容の結果に基づいて出された復審決定は、「拒絶査定を維持する」だけというものではなくなったため、「復審請求を却下する」というより厳格な表現に変更された。


 なお、同時に改正された審査指南では、復審における職権審査の範囲がさらに明確化され、例えば、信義誠実原則(その解説は本書の後章を参照)が遵守されているか否かの審査、進歩性の拒絶査定理由に関わる区別的特徴自体に明瞭性の問題がないかどうかの審査、拒絶査定で引用された証拠(引例)について、その使用方法の調整(例えば、 最も近い先行技術の認定を変更することや引例の組み合わせ方法を変更する)等が職権による審査の内容として例挙されている。

(四)特許権存続期間補償制度
 改正「専利法」では、特許権存続期間補償(PTA)に関する条項が新設された(「専利法」第 42 条2 項「発明特許の出願日から起算して満4年、かつ実体審査請求日から起算して満3年後に発明特許権が付与された場合、国務院特許行政部門は、特許権者の請求に応じて、発明特許の権利付与プロセスにおける不合理的な遅延について特許権利期間の補償を与えるが、出願人に起因する不合理な遅延は除く。」と規定)。


 今回の「細則」では、特許権存続期間補償に関する条項(第 77 条~第 79 条及び第 84 条) が新設され、特許権存続期間補償の請求期限と補償期限の計算方法が明らかにされた。

1.特許権存続期間補償の条件(細則第 78 条第 4 項)
 「専利法」第 42 第 2 項によると、特許権存続期間補償を受けることができるのは発明特許に限定され、かつ特許権存続期間補償は出願人の請求に応じて与えられ、自動的には与えられない。また、改正後の「細則」第 78 条第 4 項によると、同一出願人が同日に同一の発明創造について実用新案登録とともに発明特許を出願し、かつ出願人が実用新案登録の放棄を宣言することによって特許を取得した場合、特許権存続期間補償を受けることはできないと規定されている。

 

2.特許権存続期間補償の請求期間(細則第 77条)
 改正後の「細則」第 77 条では、特許権存続期間補償の請求は特許権付与公告日(授権公告日)から 3ヶ月以内に提出しなければならないものと規定されている。請求を提出するにあたって費用を納付しなければならないこととなっているが、現時点ではその費用基準はまだ出ていない。

3.特許権存続期間補償の補償期限の計算方法(細則第 7879 条)
 改正後の「細則」第 78 条と第 79 条の規定によると、特許権存続期間補償の補償期間の実際の日数を計算するには、以下の 3つの計算要素を考慮しなければならない。


(A)特許出願日より 4 年が経過し且つ実体審査請求日より 3 年を経過した日から特許権登録公告日までの日数
(B)合理的な遅延日数
(C)出願人による不合理な遅延日数


 上記「(A) -(B) -(C) 」で求められた日数が、特許権存続期間補償の補償期間の実際の日数になる。

 

 改正後の「細則」と「審査指南」の関連規定によると、上記日数(A) を計算するときに注意すべきなのが、本項でいう「発明特許出願日」とは、実際に出願が提出された日を指すということだ。当該特許出願が PCT国際出願として中国国内段階に移行される場合は、国際出願の中国国内段階への移行日が「発明特許出願日」となり、当該特許出願が分割出願である場合は分割出願提出日が「発明特許出願日」となる。
また、本項でいう「実体審査請求日」とは、実体審査請求が提出され、かつ料金納付された日であるが、もしも当該日に当該特許出願が中国で国内公開されていなかった場合、国内公開日が「実体審査請求日」とみなされることにも注意が必要だ。


「(B) 合理的な遅延日数」には、以下の(1)~(4)が含まれる。
(1)「細則」第 66 条の規定に従って補正した特許出願書類の復審プロセスにおける遅延日数。即ち、特許出願が拒絶された後、出願人が復審請求を提出し、かつ復審プロセスで出願書類を補正することによって拒絶理由を克服し、「拒絶査定を取り消す」旨の復審決定が下された場合。
(2)「細則」第 103 条の規定に基づく特許出願権の権利帰属紛争に起因する中止プロセスによる遅延日数。当該遅延日数は、当事者の中止請求に対する特許庁による決定通知に基づいて確定することができる。
(3) 「細則」第 104 条の規定に基づく保全措置による遅延日数。
(4)その他の合理的な状況による遅延日数。

「(B) 合理的な遅延日数」は、上記(1) ~(4)の日数の和である。

 

 上記「(C)出願人による不合理な遅延日数」には、以下の(1)~(5) が含まれる。
(1) 所定の期限内に特許庁が発行した通知に応答しなかったことによる遅延日数(即ち、ここでいう遅延日数とは、応答期限日から実際に応答を提出した
日までの期間) 。
(2)遅延審査を請求したことによる遅延日数(即ち、ここでいう遅延日数とは、実際に審査が遅延した期間) 。
(3) 改正「細則」第 45 条に規定された「引用による補充」による遅延日数(即ち、ここでいう遅延日数とは、出願書類の初回の提出日から「引用による補充」で書類を補充提出した日までの期間) 。
(4)権利回復を請求したことによる遅延日数(即ち、ここでいう遅延日数とは、元の期間満了日から権利回復請求を認める旨の通知書の発行日までの期間(当該遅延理由を特許庁が引き起こしたことを証明できる場合を除く) ) 。
(5)優先日から 30 ヶ月以内に中国国内段階への移行手続きを行った国際出願が、早期審査を請求しなかったことによる遅延日数(即ち、ここでいう遅延日数とは、中国国内段階に移行された日から、優先日から 30ヶ月の満了日までの期間)。

「(C 出願人による不合理な遅延日数」は、上記(1 ~(5)の日数の和である。

 

 (A 、(B 、(C が確定されたら、「(A -B -C 」で求められた日数を特許権存続期間補償の補償期間の実際の日数として、その値が 0より大きい場合、相応の特許権存続期間補償を得ることができるが、そうでなければ特許権存続期間補償を受けることができない。

(五)薬品特許の保護期間補償制度
 改正「専利法」では、薬品特許の保護期間補償制度(以下、「PTE」と略称する) が導入された。すなわち、改正後の「専利法」第 42 条第 3 項には、「新薬の上市審査、評価、承認にかかった時間を補償するために、中国での上市許可を得られた新薬に関連する発明特許について、国務院特許行政部門は特許権者の請求に応じて特許権利期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えないものとし、新薬上市後の特許権の合計有効期間は 14 年を超えないものとする。」と規定している。


 改正後の「細則」では第 8084 条が新設され、改正後の「審査指南」にも、PTE を取得できる薬品特許の種類、申請条件、計算方法、保護範囲、審査プロセスなどについて具体的に規定された。

 

1.PTE の対象となる特許の種類(細則第 80 条)

 改正「細則」第 80 条では、PTE が得られる対象となる薬品特許の種類として、具体的に、新薬の製品特許、製造方法特許、医薬用途特許があげられている。これについて、「審査指南」ではさらに新薬の「薬品活性物質の製品発明特許、製造方法発明特許又は医薬用途発明特許」であると具体的に規定されている。

 

 「新薬」の定義について、「審査指南」の規定によると、新薬とは、国務院薬品監督管理部門が上市許可した革新薬(innovator drug と特定種類の改良型新薬のことを指す。この「革新薬」と「特定種類の改良型新薬」の意味は、国務院薬品監督管理部門の関連規定を援用するものとしている。

 

2.PTE の申請条件(細則第 81 条)

 改正後の「細則」第 81 条によると、新薬は中国で上市許可を得た日から 3ヶ月以内に PTE 申請を提出することができ、1つの新薬については 1つの有効な特許に対してのみ PTE を申請することができ、1つの特許は 1つの新薬に関してのみ PTE を受けることができる。

 

3.PTE 補償期間の計算方法(細則第 82 条)

 改正後の「細則」第 82 条によると、PTE の補償期間は 5 年を超えず、かつ当該薬品の上市許可申請が認められた後の特許存続期間の合計が 14 年を超えないことを前提として、「当該特許出願日より当該新薬が中国で上市許可を得た日までの期間から 5 年を減算する」ことによって算出される。

 

 「専利法」第 42 条第 2 項に規定された特許権存続期間補償(PTA)の条件および「専利法」第 42条第 3 項に規定された薬品特許権存続期間補償(PTE)の条件の両方を満たす発明特許については、PTA の補償期間を決めてから PTE の補償期間を確定しなければならない。

 

4.PTE の保護範囲(細則第 83 条)

 改正「細則」第 83 条によると、PTE 期間において、新薬製品特許の請求項による保護範囲は承認された適応症に使用される上市新薬製品に限られ、新薬医薬用途特許の請求項による保護範囲は新薬製品の承認された適応症に用いられる用途に限られ、新薬製造方法の請求項による保護範囲は、承認された適応症の上市する新薬製品の国務院薬品監督管理部門に登録された生産プロセスに限られる。つまり、特許権存続期間の PTE 補償期間内にある新薬関連発明特許の請求項による保護範囲は、上市する新薬の国務院薬品監督管理部門から承認を受けた新薬の構造、組成及びその含有量、承認された生産プロセスおよび適応症のみに限定され、新薬関連発明特許の請求の範囲の全てについて保護が及ぶというものではない。

 

 このように、PTE 補償期間の保護範囲は PTA 補償期間の保護範囲とは異なる。PTE 補償期間の保護範囲は上述の制限があるが、PTA 補償期間においては登録された発明特許の請求範囲の全てが保護範囲となる。

 

5.PTE の審査プロセス及び救済プロセス

 PTE 審査において、PTE 申請人には、最初に提出された申請に存在する誤りや漏れを補うために、意見
陳述または補正の機会が 1 回与えられる。特許庁は、審査の結果、薬品特許権存続期間補償請求が期間補償の条件を満たすと判断した場合、期間補償を与える決定を下し、期間補償の日数を通知しなければならない。この決定が出されると、関連事項が特許登記簿に登録され、特許公報で公告される。

 

 2023 12 21 日、特許庁は「特許権存続期間補償および特許開放式許諾に関する行政復議事項に関する公告(第560号)」を公布し、特許権者、関連特許にかかる権利侵害紛争の存在による利害関係者、又はすでに関連薬品登録申請を提出した利害関係者は、特許庁が「専利法」第 42 条第 23項に従って下した特許権存続期間補償に関する決定に不服がある場合、特許庁に対して行政復議を申請することができると規定された。

(六)意匠部分に関する改正
1.部分意匠出願関連(細則第 30、31 条)
 改正「専利法」第2条では部分意匠の保護に関連する内容が追加され、改正「細則」第 30 条及び第31 条では、部分意匠出願における意匠図面や写真、簡単な説明などの書類に関する具体的な規定が追加された。


 詳しく説明すると、改正「細則」第 30 条第 2 項には、「部分意匠を出願する場合、物品全体の正投影図を提出し、破線と実線の組み合わせ又はその他の形式によって保護を求める部分の内容を明らかに示さなければならない。」と規定されている。また、第 31 条第 3 項には、「部分意匠を出願する場合は、簡単な説明において、保護を求める部分を明記しなければならない。但し、物品全体の正投影図において破線と実線を組み合わせた形式によって示された場合を除く。」と規定されている。

 

 「経過措置」第 10 条によると、2024 1 20日より、特許庁は出願日が 2021 6 1 日以降の部分意匠出願に対し、改正「細則」第 30 条及び第 31 条を適用して審査を行うとのことである。

2.意匠の国内優先権主張関連(細則第 35 条)
 改正「専利法」には意匠が国内優先権を享受できる規定が新設された。改正前の「細則」では、発明又は実用新案の特許出願が先に出願した発明又は実用新案の国内特許出願の優先権を享受できることのみが規定されていたが、改正「細則」第 35条で、意匠出願が先に出願した発明又は実用新案の国内特許出願の優先権を享受できるかについても明示された。


 同条項によると、先に出願した国内意匠出願、又は先に出願した国内発明特許出願や国内実用新案出願の図面に基づき同じ主題の意匠出願を提出する場合、国内優先権を享受することができる。なお、先に出願した発明または実用新案の特許出願を国内優先権の基礎として意匠出願をした場合、先の発明又は実用新案の特許出願は取下げ擬制されない。

 

3. ハーグ協定下の意匠保護(細則第 136~144 条)
 中国の「工業製品の意匠国際登録に関するハーグ協定」(1999年改正協定)(以下、「ハーグ協定」と略称する)加盟に伴う国内法整備のために、改正「細則」では、「意匠国際出願に関する特別規定」という章が新設され(第 12 章)、意匠国際出願の法的地位、審査プロセス、優先権、新規性喪失の例外規定の適用、分割出願などの点において国内意匠特許出願制度の中でどのように国際出願が取り扱われるか規定された。


 また、「経過措置」第 16 条では、2024 1 20日より、特許庁は出願日が 2022 5 5 日(ハーグ協定の中国での発効日)以降の意匠国際出願について改正「細則」第 136 条~第 144 条を適用して審査を行うと規定されている。

 

(七)信義誠実の原則について(細則第 50596769 条)
 改正「専利法」第 20 条第 1 項では、信義誠実原則が新設された。改正「細則」では、「特許出願は信義誠実の原則に従わなければならない。各種特許出願を提出するには、真実の発明創造活動を基礎としなければならず、虚偽改ざんを行ってはならない。」(第 11 条)という規定が新設され、さらには信義誠実原則がより具体的に規定され、信義誠実原則が、特許出願の予備審査(細則第50条) や実体審査における拒絶理由(細則第59条) 、及び特許無効審判手続における無効理由(細則第 69 条) としてなり得ることとなった。


 改正「細則」第 67 条第 1 項では、復審の審理内容について復審請求の内容以外に「国務院特許行政部門が・・・・・・特許出願に専利法及び本細則のその他の関連規定に違反することが明らかであると考える場合」に職権審査ができると規定されている。また、改正「審査指南」第 4 部分第 3 章第 4 節では、「特許権の取得が明らかに信義誠実原則に反する場合、合議組は『細則』第 11 条の無効理由に加えて審査を行うことができる。」と規定されている。


 このように、改正「細則」では、信義誠実の原則が初めて特許権付与及び確定の手続に具体的に導入され、特許出願を提出する際には信義誠実の原則を遵守しなければならず、真実の発明創造活動に基づき、虚偽改ざんや、異常な出願行為を行ってはならないということが強調された。「審査指南」においても、同日に公布された「特許出願行為を規範化するための規定」を審査の根拠とするよう規定された。また、改正「細則」に新設された第 100 条では、出願人または特許権者が本細則第 11 条に違反した場合に「県級以上の特許執法担当部門が警告し、10 万元以下の罰金を科すことができる。」と規定された。
 

 なお、「経過措置」第 9 条では、2024 年 1 月 20日より、特許庁は改正「細則」の第50条、59条、67条及び69条に基づいて審査を行うと規定されている。
ここで注意しなければならないのは、①改正「細則」第11 条に基づいて審査される特許出願は出願日の制限を受けない、②改正「細則」第 11 条に合致しないことを理由とする無効審判の請求対象は全ての特許権である。③改正「細則」第 11 条は遡及適用ができ、改正「細則」第 11 条に合致しないことを無効理由とする場合には、当該特許権がいつ付与されたかについては問わない、という点である。

 

(八)開放式許諾制度(細則第 8588 条)
 改正「専利法」第 50 条~第 51 条では、開放式許諾制度が導入された。改正「細則」では、第 85 条~第 88 条が新設され、第 85 条には、特許権者が開放式許諾を声明する時に明記すべき特許番号、特許権者の氏名または名称、許諾費用の支払方法や許諾期限など、開放式許諾声明をする時期と要求が規定された。第 86 条では、開放式許諾をしてはならない状況が挙げられた。第 87 条では、開放式許諾によって特許実施許諾が達成された場合、当事者双方は開放式許諾が達成されたことを証明する書面をもって届け出なければならないことが規定された。第88条では、特許権者は虚偽資料の提供や事実の隠蔽などの手段を通じて、開放式許諾声明を出したり、開放式許諾の実施期間中に特許年金の減免を受けたりしてはならないと規定された。


 「経過措置」第 14 条には、2024 年 1 月 20 日より、特許庁が「細則」第 85 条~第 88 条に基づいて、特許権者が 2021 年 6 月 1 日以降に提出した開放式許諾声明を審査すると規定されている。

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 改正「細則」と改正「審査指南」は公布されたばかりであり、2024 年 1 月 20 日から効力が生じる。特許庁は、改正「専利法」と改正「細則」の円滑な実施を確保するために、上述の「審査指南」「経過措置」等を含む複数の部門規定を同日に公布した。

 

「細則」の新旧対照訳および「経過措置」の和訳もお送りいたします。

*次回の「Shangcheng Newsletter」では、「細則」と関連する部門規定に基づき、特許権存続期間補償制度等の内容についてより詳しくご紹介する予定です。

 

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