「標準化関連特許出願の手引き」公表について
中国の知的財産局は、2026年3月14日に「標準化関連特許出願の手引き」を公表した。内容は、セルラー通信、音声・画像符号化/復号化、Wi-Fi等の分野を中心に増加している標準化関連特許を出願する企業に向けた、標準必須特許(SEP)を獲得するための出願戦略および明細書作成戦略の解説である。全4章51頁からなる手引きの概要は、以下の通りである。
第1章「標準化の基本概念」:
技術標準の概念や分類、標準化団体、国際標準化の一般的プロセスの概要を解説している。
第2章「標準化と特許の協調」:
特許と技術標準との対応関係を分析するクレームチャートの概要を説明するとともに、RedCap関連の標準必須特許を獲得した企業の例を挙げて、出願人が標準化作業の段階に応じた特許戦略を採用するよう指導している。
第3章「標準化関連特許の出願戦略」:
標準必須特許を獲得するための優先権、新規性喪失の例外、及び遅延審査制度の活用戦略を論じている。新規性喪失の例外に関しては、2023年の専利法実施細則改正で例外適用事由に「国務院の関連主管部門に認められた国際組織による学術会議または技術会議」が追加された趣旨は、中国企業が積極的に国際的な学術交流・国際標準策定に参加するよう奨励することにあると明言している。更に、当該条文の適用を受けて国際標準化会議で出願前に発表した発明の救済を受けた企業の事例も紹介されている。遅延審査制度についても、数年間を要する標準化作業とタイミングを合わせた権利化を実現するために同制度を活用した事例を紹介している。
第4章「標準化関連特許の明細書作成戦略」:
通信分野の標準化関連発明を、(1)同一世代/同一シナリオにおける技術手段の調整および最適化、(2)世代横断/シナリオ横断の技術改良または融合、(3)世代をまたいで継続的に発展する一般的技術課題に関する発明の3タイプに分類し、それぞれ具体例を挙げながら、明細書・クレーム作成時の留意点を説明している。具体例に挙げられた発明は、それぞれ、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)システムにおける制御信号のビット設計、5G通信の上り制御情報(UCI)の優先順位付け制御、5G通信のハンドオーバー要求メッセージ中のネットワークスライシング識別子である。更に、各具体例について中間応答時の進歩性主張のポイントも記載している。また、標準化の方向性が定まらない段階で明細書を作成するにあたり、複数の解決方式を並列で記載しておくことや、後日の補正根拠としやすい記載にしておくこの必要性を説き、クレームの明確性要件を満たすための注意点等も解説している。
上記の通り、第1~3章は概要的な記載が多く、標準化関連特許を出願している企業にとっては、既に理解・活用している内容も多いと思われる。第4章については、中国の審査基準に鑑みた標準化に強い明細書・クレームの作成方法が具体例を交えて解説されており、参考に値する。