専利の権利付与・権利確定に関わる行政事件審理における法律適用の若干の問題に関する規定(一)

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専利の権利付与・権利確定に関わる行政事件の審理における法律適用の若干の問題に関する規定(一)

 

専利の権利付与・権利確定に関わる行政事件を正しく審理するために、「中華人民共和国専利法」、「中華人民共和国行政訴訟法」等の法規定に基づき、裁判の実務を踏まえ、この規定を制定する。

 

1 この規定でいう専利の権利付与に関わる行政事件とは、専利出願人が国務院専利行政部門の行った専利拒絶査定不服審判審決専利の権利付与・権利確定に関わる行政事件審理における法律適用の若干の問題に関する規定(一)を不服として、人民法院に訴訟を提起した事件をいう。

この規定でいう専利の権利確定に関わる行政事件とは、専利権者又は無効審判請求人が 国務院専利行政部門の行った専利無効審判審決を不服として、 人民法院に訴訟を提起した事件をいう。

この規定でいう訴えを受けた審決とは、国務院専利行政部門の行った専利拒絶査定不服審判審決、及び専利無効審判審決をいう。

 

2 人民法院は、所属技術分野の技術者が専利請求の範囲、明細書及び添付の図面を閲読した後に理解する通常の概念により請求項の用語を解釈すべきである。請求項の用語について、明細書及び添付の図面に明確な定義又は説明がある場合は、それに従って解釈する。

前項の規定によっては解釈できない場合、所属技術分野の技術者が通常用いる技術用語辞典、技術便覧、参考書、教科書、国又は業界の技術基準等を結びつけて解釈することができる。 3条 人民法院が専利の権利確定に関わる行政事件において請求項の用語を解釈するにあたっては、専利権侵害民事事件の効力を生じた判決において採用された専利権者の関連する陳述を参照することができる。

 

4 専利請求の範囲、明細書及び添付の図面中の文法、文字、数字、句読点、図形、符号等に明らかな誤り又は曖昧な表現があるが、所属技術分野の技術者が専利請求の範囲、明細書及び添付の図面を閲読することにより一義的な理解が得られる場合、人民法院は当該一義的な理解に基づき認定しなければならない。

 

5 当事者は、専利出願人、専利権者が信義誠実の原則に違反し、明細書及び添付の図面における具体的な実施形態、技術的効果及びデータ、図表等に関連する技術内容を捏造、変造したことを証明できる証拠があり、これに基づいて係る請求項が専利法の関連規定に合致しないと主張した場合、人民法院はこれを支持しなければならない。

 

6 明細書において特定の技術内容が十分に公開されていないため、専利出願日に次に掲げるいずれかの状況がある場合、人民法院は明細書及び当該特定の技術内容と関連する請求項は、専利法第26条第3項の規定に合致しないと認定しなければならない。

(一)請求項に限定された技術方案が実施不可能である。

(二)請求項に限定された技術方案によっては、発明又は実用新案の解決しようとする技術的課題を解決できない。

(三)請求項に限定された技術方案が発明又は実用新案の解決しようとする技術的課題を解決できることを確定するために、過度の労力を費やす必要がある。

当事者が、前項に規定された、十分に開示されていない特定の技術内容のみに基づき、請求項が専利法第 26 条第 4 項の「専利請求の範囲は明細書を根拠としなければならない」との規定に合致すると主張した場合、人民法院はこれを支持しない。

 

7 所属技術分野の技術者が明細書及び添付の図面に基づき、請求項に次に掲げる事由のいずれか一つがあると認めた場合、人民法院は、当該請求項は、専利法第26条第 4 項の「専利請求の範囲は、保護を請求する範囲を明確に限定しなければならない」との規定に合致しないと認定しなければならない。

(一)限定された発明のカテゴリが不明確である。

(二)請求項における技術的特徴の意味を合理的に確定できない。

(三)技術的特徴の間に明らかな矛盾があり、かつ合理的に解釈できない。

 

8 所属技術分野の技術者が明細書及び添付の図面を閲読した後、出願日に請求項に記載された技術方案を得ること、又は合理的に概括して得ることができない場合、人民法院は、当該請求項が専利法第26条第4項の「専利請求の範囲は明細書を根拠としなければならない」との規定に合致しないと認定しなければならない。

 

9 機能又は効果により定義された技術的特徴とは、構造、組成、手順、条件などの技術的特徴或いは技術的特徴の互いの関係等について、それが発明創造において果たす機能又は効果のみによって定義される技術的特徴をいうが、所属技術分野の技術者が請求項を閲読するだけで、直接かつ明確に当該機能又は効果の具体的な実施形態を確定できるものは除く。

前項に規定される機能又は効果で定義される技術的特徴について、請求項、明細書及び添付の図面において、当該機能又は効果を実現できるいかなる具体的な実施形態も開示されていない場合、人民法院は、明細書及び当該技術的特徴を備える請求項は専利法第26条第3項の規定に合致しないと認定しなければならない。

 

10 薬品の専利出願人が出願日以降に補充実験データを提出し、当該データに基づき専利出願が専利法第22条第3項、第26条第3項等の規定に合致すると主張した場合、人民法院はこれを審査しなければならない。

 

11 実験データの真実性について当事者に争いがある場合、実験データを提出した一方当事者は、実験データの出所及び形成過程を証拠をもって証明しなければならない。人民法院は、実験の責任者に出廷を通知し、実験原料、手順、条件、環境又はパラメータ、並びに実験を行った担当者、機関等について説明させることができる。

 

12 請求項で限定された技術方案の技術分野を確定するにあたり、人民法院は、主題の名称等の請求項の全ての内容、明細書の技術分野及び背景技術に関する記載、並びに当該技術方案が実現する機能及び用途を総合的に考慮しなければならない。

 

13 区別的技術特徴が請求項で記載された技術方案において果たすことができる技術的効果が、明細書及び添付の図面に明確に記載されていない場合、人民法院は、所属する技術分野の公知常識を結合し、区別的技術特徴と請求項におけるその他の技術的特徴との関係、請求項に記載された技術方案における区別的技術特徴の役割等を踏まえ、所属技術分野の技術者が確定可能な当該請求項の実際に解決する技術的課題を認定することができる。

訴えの対象となった審決が、請求項の実際に解決する技術的課題を認定していない又は誤って認定している場合、人民法院が法に基づき請求項の進歩性に対して行う認定に影響を与えない。

 

14 人民法院は、意匠製品に関する一般消費者の知識水準及び認識能力を認定するにあたり、出願日における意匠製品のデザインの余地を考慮しなければならない。デザインの余地が大きい場合、人民法院は、「異なるデザインの間の小さな区別は、通常、一般消費者に注意されがたい」と認定できる。デザインの余地が小さい場合、人民法院は、「異なるデザインの間の小さな区別は、通常、一般消費者に注意されやすい」と認定できる。

前項にいうデザインの余地の認定について、人民法院は次に掲げる要素を総合的に考慮 することができる。

(一)製品の機能、用途。

(二)先行デザインの全体的状況。

(三)慣用デザイン。

(四)法律、行政法規の強行規定。

(五)国家、業界の技術標準。

(六)考慮すべきその他の要素。

 

15 意匠の図面、写真が矛盾している、欠け落ちている又は不鮮明である等により、一般消費者が図面、写真及び簡単な説明に基づき保護請求する意匠を確定できない場合、人民法院は専利法第27条第2項の「保護を要求する製品の意匠を鮮明に表示していなければならない。」という規定に合致していないと認定しなければならない。

 

16 人民法院は、意匠が専利法第23条の規定に合致しているか否かを認定する際、意匠の全体的な視覚効果を総合的に判断しなければならない。

特定の技術的機能を実現するために備えなければならない、又は限られた選択肢しか有さないデザインの特徴は、意匠の視覚効果の全体観察と総合判断に顕著な影響を与えない。

 

17 意匠と、同一又は類似の種類の製品の 1 件の先行デザインとを比較して、全体的な視覚効果が同一、又は局部の微細な相違しかない等の実質的に同一である場合、人民法院は、専利法第23条第 1 項に定められた「先行デザインに属する」とのと認定しなければならない。

前項に定められた状況を除き、意匠と同一又は類似の種類の製品の 1 件の先行デザインとの比較において、両者の相違が全体的な視覚効果に顕著な影響を与えない場合、人民法院は、専利法第23条第2項に定められた「顕著な相違」がないものと認定しなければならない。

人民法院は、意匠製品の用途に基づき、製品の種類が同一又は類似するか否かを認定しなければならない。製品の用途を確定するにあたっては、意匠の簡単な説明、意匠製品の分類表、製品の機能及び製品の販売、実際に使用する際の状況などの要素を参考にできる。

 

18 意匠と、同一種類の製品について同日に出願された別の意匠との比較において、全体的な視覚的効果が同一又は局部の微細な相違がないなどの実質的に同一である場合、人民法院は専利法第9条の 「同様の発明創造に対しては1件の専利権のみを付与する」との規定に合致しないものと認定しなければならない。

 

19 意匠と、その出願日以前に出願され、出願日後に公告された、同一又は類似の種類の製品の別の意匠との比較において、全体的な視覚効果が同一又は局部の微細の相違しかないなどの実質的に同一である場合、人民法院は専利法第23条第 1 項に定められた「同様の意匠」を構成すると認定しなければならない。

 

20 先行意匠から与えられるデザイン上の示唆により、一般消費者がデザイン特徴の転用、組み合わせ又は置換により、意匠の全体的な視覚効果と同一、又は局部の微細な相違しかないなどの実質的に同一な意匠を取得し、かつ独特の視覚効果を有さない場合、人民法院は、当該意匠と先行デザインの特徴の組み合わせとの比較において、専利法第23条第2項に定められた「顕著な相違」がないと認定しなければならない。

次の各号のいずれかに該当する場合、人民法院は前項にいうデザイン上の示唆があると認定することができる。

(一)同一種類の製品のさまざまな部分のデザイン特徴を組み合わせ又は置換してい る。

(二)先行デザインが他の特定種類の製品のデザイン特徴を意匠製品に転用することを開示している。

(三)先行デザインがさまざまな特定種類の製品の意匠の特徴を組み合わせることを開示している。

(四)先行デザインにおける図案をそのまま、又は微細な変更のみを施した後に意匠製品に用いている。

(五)単なる自然物の特徴を意匠製品に転用している。

(六)単に基本的な幾何学的形状を用いている又は微細な変化のみを施して得た意匠で ある。

(七)一般消費者が熟知する建築物、作品、標識の全部又は一部のデザインを使用して いる。

 

21 人民法院は、この規定の第 20 条にいう独特の視覚効果を認定するにあたり、次に掲げる要素を総合的に考慮することができる。

(一)意匠製品のデザインの余地。

(二)製品種類の関連度。

(三)転用、組合せ、置換されたデザイン特徴の数及び組み合わせの難しさ。

(四)考慮が必要なその他の要素。

 

22 専利法第 23 条第 3 項にいう「合法的権利」には、作品、商標、地理的表示、氏名、会社名、肖像及び一定の影響力のある商品名称、パッケージ、装飾等について有する合法的権利又は権益が含まれる。

 

23 当事者が、専利拒絶査定不服審判、無効審判の手続きにおける次の各号の状況が、行政訴訟法第70条第3項に定められた「法定手続きの違反」にあたると主張する場合、人民法院はこれを支持しなければならない。

(一)当事者の提出した理由及び証拠に抜けがあり、かつ当事者の権利に実質的な影響 を与えた場合。

(二)審査手続きに参加すべき専利出願人、専利権者、及び無効審判請求人等に法に基づく通知が出されず、その権利に実質的な影響を与えた場合。

(三)当事者に合議体構成員を告知しておらず、かつ合議体構成員に法に定められた忌避事由がありながら忌避していない場合。

(四)訴えを受けた審決により不利益を受けた一方当事者に、訴えを受けた審決の根拠となる理由、証拠及び認定された事実について、意見を陳述する機会を与えなかった場合。

(五)当事者の主張しなかった公知常識や通常設計を主体的に引用し、当事者の意見を聴取せず、かつ当事者の権利に実質的な影響を与えた場合。

(六)他の法定手続きに違反し、当事者の権利に実質的な影響を与えた可能性がある場合。

 

24 訴えを受けた審決が次の各号のいずれかに該当する場合、人民法院は行政訴訟法第70条の規定に基づき、一部取り消しの判決を下すことができる。

(一)訴えを受けた審決定における、専利請求の範囲の一部の請求項についての認定に誤りがあるが、それ以外は正しい場合。

(二)訴えを受けた審決における、専利法第31条第2項に定められた「1 件の意匠出願」のうちの一部の意匠についての認定に誤りがあるが、それ以外は正しい場合。

(三)その他の、一部の取り消しの判決が可能な場合。

 

25 訴えを受けた審決が当事者の主張する全ての無効理由及び証拠についての評価を記載した後に請求項の無効を宣告しており、人民法院が、訴えを受けた審決が当該請求項を無効と認定した理由がいずれも成立しないと認定した場合、当該審決の取り消し又は一部取り消しの判決をするべきであり、状況によって、被告に当該請求項について再び審決を出すよう判決を下すことができる。

 

26 審決が、既に効力を発した判決に直接に基づいて改めて行われたものであり、新たな事実及び理由が取り入られておらず、当事者が当該審決について訴訟を提起した場合、人民法院は法に基づき不受理裁定とする。既に受理した場合には、法に基づき訴え却下の裁定をする。

 

27 訴えを受けた審決において究明された事実又は適用された法律が適当ではないものの、専利の権利付与・権利確定に対して認定された結論は正しい場合、人民法院は関連する究明事実及び法の適用を訂正した上で、原告の訴訟上の請求を却下することができる。

 

28 当事者が、係る技術内容が公知常識である、又は係るデザイン特徴が通常のデザインにあたると主張する場合、人民法院は、当該当事者に、証拠の提出又は説明を要求することができる。

 

29 専利出願人、専利権者が専利の権利付与・権利確定に関わる行政事件において、専利出願が拒絶されるべきではない又は専利権が有効に維持されるべきであることを証明するために新たな証拠を提出した場合、人民法院は一般的に審査すべきである。

 

30 無効審判請求人が専利の権利確定に関わる行政事件において提出した新しい証拠について、人民法院は通常これを採用しないが、次に掲げる証拠は除く。

(一)無効宣告請求手続きにおいて既に主張した公知常識又は通常設計を証明するためのもの。

(二)所属技術分野の技術者又は一般消費者の知識水準及び認識能力を証明するためのもの。

(三)意匠製品のデザインの余地又は先行デザインの全体的状況を証明するためのもの。

(四)専利無効審判の審査手続きにおいて採用された証拠の証明力を補強するためのもの。

(五)他の当事者が訴訟において提出した証拠に反論するためのもの。

 

31 人民法院は、当事者にこの規定の第29条、第30条に定められた新しい証拠の提供を求めることができる。

当事者が人民法院に提出した証拠が、専利拒絶査定不服審判、無効審判の審査手続きにおいて法に基づき提出が要求されたものの、正当な理由がなく提出しなかったものである場合、人民法院は一般的に採用しない。

 

32 この規定は2020912日から施行する。

 

この規定の施行後は、人民法院で審理中の第一審、第二審事件にこの規定を適用する。 この規定の施行前に既に効力を生じる判決を下した事件については、本規定を適用して再度審理されることはない。

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